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心理学の本棚のすみっこ

じょーの個人的なこと。

美人が里に下りてきた

日々、働いております。

転職的なことをしたので、2か所目の職場なわけですけれども、いずれの職場にも「美人」がおりまして、ちょっと考察が心に積もってきたので、書いてインターネットに放っておくね。

 

前の職場にも、いまの職場にも、美人がいる。片方は既婚者で社長の愛人で、もう片方はアラフォー独身女子だ。

どっちも、目のぱっちりした、ちゃんとした美人だ。美人だからかしらないが、服やアクセサリーへの関心も高く、品が良さそうでかつ高そうなものをさらりと着こなす。

そして、どちらも、仕事ができない。もう少し正確に言うと、「与えられた仕事を、十分にできない」上に、「仕事のえり好みをし」、「自主的に他者を手伝うことが皆無」だ。おまけに、本人は、「自分は仕事ができるほうで、他の人はそうではないので、迷惑を被っている」と感じているらしい。

そんなわけなので、どちらの人も、職場では「美人枠」とか「コンパニオン」と裏で呼びならわされている。

わたしはどちらの人とも、それぞれの職場で直接のやりとりがあった(ある)ので、小さな被害―やりづらさ―を受けている。が、まあ、それくらいのことはどこの職場でもあることなので、べつに気にならない。家に帰って音楽を聴けば忘れる程度の被害だ。

 

しかし、どうしてそういう人が職場にいるのか?と考えるのはおもしろい。

わたしは、こう考えている。つまり、「美人が里に下りてきた」、と。

どういうことかというと、昔、美人には、美人用の仕事があった。受付嬢とかお茶酌み系社長秘書とか。

でも、景気が悪くなっちゃって、人件費削りましょうとなると、そういう仕事から減っていく。いまどきの受付嬢や秘書はほぼ派遣社員とか契約社員だし、正社員で社長秘書となると、美人なうえに頭もいい人しかなれない。前職のときに、いろいろな会社を渡り歩いてきた秘書さんと話したことがあるけれど、ものすごく仕事のできる人だった。

そうやって、美人なだけでは食っていけなくなると、美人ものこのこと労働市場に出てくる。もちろん、正社員で働ける仕事を目指す。そうすると、事務職とかの仕事になるだろう。

しかし、美人は、美人であるために、努力できない人が多い。また、甘やかされて育ってきている人も多い。つまり、優遇されていることが当たり前、と思っている。さらにこじらせていると、プライドも高かったりする。本当は、美人だからみんながやさしくしてくれているのに、本人は、自分が実力を備えているからやさしくされているのだと間違って帰属していたりして。

実際、そうやって30年なり40年なり過ごしてきたのだ。美人だと、重い荷物を一緒に持ってよ、なんて男子には言われないだろうし、あんまり美人だと、お母さんが「勉強しなさい」と言わなくなったりする。

わたしなんか、「あなたはきっと結婚できないから、勉強だけはしておけ」と言われて育ってきて、結局博士(心理学)だ。というかそれ、心理的虐待じゃないのお母さん、と思わなくもないけれど、まあそれは別の話だ。

ともあれ、美人は、こつこつ働けない。自分は周りの人より軽い負担の仕事をするものと思っている。なにかにつけて、「それ、わたしもやるんですか?」とか言ってしまう。ついでに、その上に脳筋体育会系男性上司がいたりすると、直訴なんかしてしまったりして、「そうかそうか、美人ちゃんが困っているのか、他の人はもっと美人ちゃんを助けてあげるように」とか号令がかかったりして、ああここは地獄か、となる。

 

ヴェブレンという経済学者が、『有閑階級の理論』という本で、「代行消費」という言葉を使っているのだけど、美人というのは、社会の中で、伝統的に代行消費を行う係だったのだと思う。代行消費というのは、お金持ちの人がお金を持っていることをみんなに宣伝するために、家族の中の弱者とか、雇っている使用人にきれいな服を着せたりすることだ。ヴェブレンの時代は、お金持ちの地主のおじさんが、奥さんや子どもたち、執事やメイドにきれいな服を着せたり、羽根のついた帽子をかぶせたりすることが例として挙げられていた。ちょっと前の日本であれば、それは会社における受付嬢とかお茶酌み秘書とかだったのだろうと思う。それなのに、日本では、人口も景気も縮小局面にあるので、代行消費の用はなくなってしまった。しかたがないので、美人は労働を志す。

食べ物がなくなって、人里に熊が下りてくるのと同じ構造だ。

熊には熊の言い分もあるし、人間には人間の理屈がある。あっちの主張とこっちの主張、優劣つけるのも難しくって、じりじりと消耗しながら、過ごす。

これからの時代、里に下りてきた美人との付き合い方をテンプレ化しておかないと、人里が荒らされて、住めなくなっちゃうかもしれないよね、というのがいまのところの感想です。

 

有閑階級の理論―制度の進化に関する経済学的研究 (ちくま学芸文庫)
ソースティン ヴェブレン
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